忍者ブログ
HOME Admin Write

かそのとり

過疎ってます。

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ドメラ図鑑003 「プランタン」
ec131738.png

名前:プランタン(Printemps)
主食:くるみ、カシューナッツ、どんぐり、カタクチイワシ

◆プランタンを世界で初めて発見したのは、アイルランドで漁業を営む鬱病の漁師であった。定置網に引っかかったまだ子供のプランタンを発見した時、漁師は「新種のエビを発見した!」と大喜びし、獲物を大事そうに水槽に入れ、近所の家を一軒一軒訪ねては「すごいだろう、俺が見つけたのだ」と触れ回ったそうである。漁師の宝物はその後すくすくと育ち一人前のプランタンになり、そしてプランタンが育つにつれて漁師の鬱病はみるみる回復した。

◆それから二十年後のこと、この話を偶然耳にしたアメリカの精神科医は、プランタンに興味を持つ。鬱病によって精神科に掛かるものは、二十年前の実に三百倍にまで増加しており、画期的な医療プログラムが切実に求められていたのだ。そして医師はプランタンの資料を集める過程において、その乏しさに非常に驚いたという。

◆そのアメリカの医師が発表した次の論文がきっかけとなって、プランタンは俄かに注目を集め始めた。論文のタイトルは「鬱病治療に関するプランタン療法の有効性」というもので、アイルランドでのかつてのエピソードや、医師が独自に行った研究により、鬱病治療にプランタンの飼育が極めて効果的であることを示していた。何よりも、多くの研究家、学者の注目を集めたのは、プランタンの生物学上の分類における誤認を指摘した次の一節である──「プランタンはエビではない」。

◆鬱病のアイルランド人が何を思ったか、「新種のエビを発見した!」と頑なに信じ込んでいたため、それ以降の全ての者が、「プランタンはエビだ」と信じきっていたのである。冷静に考えると、プランタンには三百六十度どこから見てもエビの面影など無いし、それにプランタンはどちらかといえば海より山でよく見つかっていたのである。プランタンの誤った認識は正され、それからプランタンは人間にとって欠かせない存在となった。プランタン療法によって、鬱病の人間はかつての四分の一以下にまで激減したのである。

◆プランタンには、医療的愛玩的側面のほかに、野生動物としての一面がある。山に住むプランタンは比較的おとなしく、毎日どんぐりをかじりながらひなたぼっこをしたり、林の中で相撲のようなゲーム(プランタン相撲と呼ばれている)をしながら過ごしているが、海のプランタンは違う。海のプランタンは自己の体積を自在に変倍させることができ、普段は30cm程度の体を、10倍から20倍まで巨大化させることが出来るという。しかしこれは研究によって確定的に明らかだという範囲の話であって、可能性の域を含めると実に50倍から100倍ものサイズに巨大化するプランタンも存在しうるだろうといわれている。プランタンがどんな事情でそのように巨大化するのかは、本人に訊いてみないと全く解らないというのが専門家の意見の大半であり、目下のところプランタンと意思疎通を図るための研究が急ピッチで進められている。

◆基本的に人間に対しては無害であるから、もちろんペットとしても大変人気である。シュークリームのようないい匂いがするので、若者の間で引っ張りだこだ。
PR

この記事へのコメント

お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧

この記事へのトラックバック

トラックバックURL:

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

天災
(11/16)
世代交代?
(11/14)
新年度
(04/05)
さようなら21年度
(03/31)
さぼり
(01/29)

アクセス解析

Copyright ©  -- かそのとり --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 押し花とアイコン / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]