×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「やあ、久しぶりだなあ、よく帰ってきたね。見ないうちにこの村も変わっただろう。ん? ああ、あれはベキジョウタワーだ。今や村の新名物だよ。高さは今のところ256mってところかな。いや高さは変わったりしないんだよ。
「とりあえずそこで飲もうか。え? いやだ? そうか、じゃああっちのかっぱ寿司に入ろう。そうだ、君にはひとつこの村の話をしなくちゃいけな いな。君が街に行っている間にちょっとした事件が起こってね。うんいや何、大した事件じゃないし、もうすっかり解決したんだけど、そのことを知ってるのと 知っていないのとではずいぶん違うんでね。
「じゃあ、話をしよう。──え? カッパ巻き? ああ、そうか。ここはかっぱ寿司だったな。じゃあまず好きなものを注文してくれよ。俺がおごるから大丈夫だ。お前はカロリーの心配だけしていれば良い。何、かっぱ寿司だから遠慮はいらないよ。
いいかい? じゃあ話をしよう。
「ことの始まりは3年前だ。先代の村長さんが死んで、この村では数年ぶりに村長選挙を行うことになった。その準備をしているころかな、なんと村長さんの家から『あるもの』が見つかったんだよ。
「その『あるもの』ってのはポケモンの十八禁同人誌だ。あまりここでは詳細を語らないけど、擬人化すらしてないようなやつらしい。それを村長さんは長い間ずっと隠し持っていたというんだ。
「俺たちはそれを村長さんの棺桶に入れて、墓に埋めた。死人の性癖についてどうこう言うのはあまり行儀のいいことじゃないし、それに誰にだって そういう隠れた趣味はある。だろ? 俺たちは穏便に村長さんの葬儀を済ませた。大きい目で見れば、同人誌が見つかったことなんて問題でも何でもなかったは ずなんだよ。
「だけど一人、馬鹿が居てね。ヌルクが村長の奥さんに、全部ぺらぺらと喋っちまったんだよ。その結果だ、どうなったと思う? なんと奥さんの心に巣食う悪魔が肥大化して、魔王になっちまったんだよ!
「そりゃあ、無理もねぇよ。もともと、村長さんが死んだことで心理的には参ってたんだ。そこにヌルクの馬鹿がいらんことをしたからだ。こうなると手の打ちようが、ちょっと無い。
この村は暗雲立ち込め毒の風が吹く恐ろしい村になってしまったんだ。主人公のレベルが最低でも60は無いと瞬殺ってくらいだな、だいたい。
「困ったのは俺たちだ。もうこの村では暮らせないが、この村から出ていく術はない。お前みたいに頭が良ければ街の大学に行くこともできたんだろ うが、たいていのやつはこの村に生活が深く根ざしてしまっている。今さらここを離れるなんて無理だ。それに魔王といっても元はあの優しい村長さんの奥さん から生まれたものだから、どうしても希望を捨てきれなかったんだ。
「しかしどうすることもできないわけだ。この世に一人いる主人公とか言う勇者は、昔からの魔王ヴァイスを退治しに向かってる。こんなはずれの村 になんか来てくれるわけがない。もし来てくれたとしても、主人公が普通にこの村に立ち寄る頃のレベルはおよそ30前後、つまり瞬殺だ。手も足も出ない。八 方塞がり、俺たちは困り果てた。
「それからしばらく経ったある日、ひとつ、ある妙案が生まれたんだよ。主人公が瞬殺されるレベルの村で、なぜ俺たちは暮らしていられる? 毎日恐怖と隣り合わせとは言え、俺たちは長いこと生き延びていた。
「そこで早速ステータス画面を開いてよくチェックしてみたら、俺たちのレベルはなんと70前後だったんだ。なるほど、これなら納得できる。そこで村の中から力自慢、腕自慢を八人募って、魔王を自分たちで討伐しようってことになった。
「本当は八人と言わず十人でも二十人でも引っ張っていけば良かったんだがな、とにかく八人集まって、魔王の根城、というか、村長さんの家に向かった。
その八人はお前もよく知っているやつだ。
魚屋の息子アインスラー、八百屋の親父ツヴァイス、村はずれのドライム、農園の園長フィアキナ、浮浪者フンフーン、野球部員のゼクス、穴掘り名人ズィーブソン、そしてニートの星アハトナー。
八人はよくやったよ。最初は遠くから小石を投げて様子を見てたんだが、しびれを切らしたゼクスがバットで魔王をぶん殴ったら明らかに弱々しくなったんで、あとは楽な作業だった。
「それでこの街には今現在八人の勇者が居るんだ。そのことは分かったな?
「さて、もうすぐ次期村長選挙だ。
流れから言ってその八人の勇者からひとり選ばれると思うんだが、お前、俺に投票してくれない? いつまでもニートの星でいたくないんだよ、俺も。
「じゃあ、話をしよう。──え? カッパ巻き? ああ、そうか。ここはかっぱ寿司だったな。じゃあまず好きなものを注文してくれよ。俺がおごるから大丈夫だ。お前はカロリーの心配だけしていれば良い。何、かっぱ寿司だから遠慮はいらないよ。
いいかい? じゃあ話をしよう。
「ことの始まりは3年前だ。先代の村長さんが死んで、この村では数年ぶりに村長選挙を行うことになった。その準備をしているころかな、なんと村長さんの家から『あるもの』が見つかったんだよ。
「その『あるもの』ってのはポケモンの十八禁同人誌だ。あまりここでは詳細を語らないけど、擬人化すらしてないようなやつらしい。それを村長さんは長い間ずっと隠し持っていたというんだ。
「俺たちはそれを村長さんの棺桶に入れて、墓に埋めた。死人の性癖についてどうこう言うのはあまり行儀のいいことじゃないし、それに誰にだって そういう隠れた趣味はある。だろ? 俺たちは穏便に村長さんの葬儀を済ませた。大きい目で見れば、同人誌が見つかったことなんて問題でも何でもなかったは ずなんだよ。
「だけど一人、馬鹿が居てね。ヌルクが村長の奥さんに、全部ぺらぺらと喋っちまったんだよ。その結果だ、どうなったと思う? なんと奥さんの心に巣食う悪魔が肥大化して、魔王になっちまったんだよ!
「そりゃあ、無理もねぇよ。もともと、村長さんが死んだことで心理的には参ってたんだ。そこにヌルクの馬鹿がいらんことをしたからだ。こうなると手の打ちようが、ちょっと無い。
この村は暗雲立ち込め毒の風が吹く恐ろしい村になってしまったんだ。主人公のレベルが最低でも60は無いと瞬殺ってくらいだな、だいたい。
「困ったのは俺たちだ。もうこの村では暮らせないが、この村から出ていく術はない。お前みたいに頭が良ければ街の大学に行くこともできたんだろ うが、たいていのやつはこの村に生活が深く根ざしてしまっている。今さらここを離れるなんて無理だ。それに魔王といっても元はあの優しい村長さんの奥さん から生まれたものだから、どうしても希望を捨てきれなかったんだ。
「しかしどうすることもできないわけだ。この世に一人いる主人公とか言う勇者は、昔からの魔王ヴァイスを退治しに向かってる。こんなはずれの村 になんか来てくれるわけがない。もし来てくれたとしても、主人公が普通にこの村に立ち寄る頃のレベルはおよそ30前後、つまり瞬殺だ。手も足も出ない。八 方塞がり、俺たちは困り果てた。
「それからしばらく経ったある日、ひとつ、ある妙案が生まれたんだよ。主人公が瞬殺されるレベルの村で、なぜ俺たちは暮らしていられる? 毎日恐怖と隣り合わせとは言え、俺たちは長いこと生き延びていた。
「そこで早速ステータス画面を開いてよくチェックしてみたら、俺たちのレベルはなんと70前後だったんだ。なるほど、これなら納得できる。そこで村の中から力自慢、腕自慢を八人募って、魔王を自分たちで討伐しようってことになった。
「本当は八人と言わず十人でも二十人でも引っ張っていけば良かったんだがな、とにかく八人集まって、魔王の根城、というか、村長さんの家に向かった。
その八人はお前もよく知っているやつだ。
魚屋の息子アインスラー、八百屋の親父ツヴァイス、村はずれのドライム、農園の園長フィアキナ、浮浪者フンフーン、野球部員のゼクス、穴掘り名人ズィーブソン、そしてニートの星アハトナー。
八人はよくやったよ。最初は遠くから小石を投げて様子を見てたんだが、しびれを切らしたゼクスがバットで魔王をぶん殴ったら明らかに弱々しくなったんで、あとは楽な作業だった。
「それでこの街には今現在八人の勇者が居るんだ。そのことは分かったな?
「さて、もうすぐ次期村長選挙だ。
流れから言ってその八人の勇者からひとり選ばれると思うんだが、お前、俺に投票してくれない? いつまでもニートの星でいたくないんだよ、俺も。
PR
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
この記事へのコメント
無題
Re:無題
やっぱり最初のたわーのくだりはいみふだ。
無題
レベル70